快成堂

大阪府吹田市「江坂駅」の垂水町にある鍼灸院です。 いろんなことを書きます。

肺は「燥」の季節で、臓腑との関わりでは肺に臓します。

また秋(1日では夕方)はすべてが収する時です。葉は落ち果実は実り、動物は冬眠の準備にはいります。これを臓にあてはめると肺の働きと相通じるといわれています。それで「肺は秋を主る」といい「肺は収を欲す」といいます。

肺の主な働きは気を全身に循環させることや呼吸と関係があります。

肺は呼吸をして外から天空の気をとりこみ、天の気を全身へと送ります。また、天の気の一部が飲食物の精気と合体して元気となります。

そして、呼吸に関係があるので肺が病むと咳や呼吸困難、体力が無くなって疲れやすいなどの症状が出ます。

肺は鼻と関係があり、肺に病変があるとその症状は鼻に現われ、鼻づまりや嗅覚の異常が出ます。他に鼻翼(小鼻)がぴくぴくするのも肺に異常がある一つとされています。

全身の皮や毛も肺と関係があり、上記にある全身に送られた天の気は全身を外邪から保護しており、臓気も外邪から守っています。

肺は大腸と表裏の関係になっており、大腸は胃の一部です。だから胃に熱が多くなると大腸にも熱が移行します。胃腸の内側は皮毛の続きであるため肺と大腸は関係がある。肺に熱がこもると大腸や大腸経にも熱が出てきます。

肺は胸中に位置し、五藏六府の中で最も高いところにあり、他の臓を傘のように覆っています。皮毛、鼻などと関係が深く、大腸と表裏の関係があります。

肺は気をつかさどり、呼吸をつかさどります。主な働きは「全身の気と呼吸をつかさどる」ことです。肺は呼吸して外から精気を取り込み、体の中の気と結合させて新たな気を全身に送ります。

肺気(肺の働きと、その働きを動かす動力を指す)が足りないと、体全体のエネルギーが足り無くなり、全身的な症状が出たり、肺気の働きの乱れからくる呼吸器系の症状が出ます。

全身的な症状としては、抵抗力が弱く病気になりやすい、元気がない、息切れ、風邪をひきやすいなどの症状です。

ニンジン、ヤマイモ、白いキクラゲを用います。薬としては薬用の人參、冬虫夏草などがあります。

肺は宣発・粛降(肺の基本的働き。宣発は外向き、上向に発散させ、脾胃が送ってきた津液と水穀の精微を全身にいきわたらせるほか、皮毛を調節して汗を体外に排出し、呼気によって汚れた気である濁気を体外に排出する。粛降は、汗孔を閉じて環境の変化に対応し、肺を清浄に保って精気を吸入し、腎に降ろし、代謝された津液である廃液を膀胱に向かって下行させる。)をつかさどります。気と津液を外に発散させたり、上のほうへもっていく「宣発」と、下のほうに降ろす「粛降」の働きです。

風邪をひくときは、寒さを受けて皮毛(皮膚とうぶ毛。実際には汗腺、皮脂腺を含めた皮膚の表層を指す。)、皮膚を通じて邪が肺に進入します。他の藏府には入りません。咳や喉の痛みといった肺の症状が現われます。

皮膚や鼻は肺とつながっています。肺が弱いときは、皮膚の抵抗力も弱くなると考えます。肺気が足りないから風邪を引きやすくなるのです。

また風邪の時には、肺をひらく「宣発」ができないので、鼻づまり、鼻水の症状が出ます。

肺気を下降させる「粛降」が乱されているときには、呼吸が浅くなり、ひどくなると喘息になります。

肺の症状をまとめると「咳、痰、喘」の三症状があります。

気管支が弱いと、すぐに咳をする、喘息する。痰がでるという症状が出やすくなります。

咳、痰、喘息を治療するものとしては、ギンナン、ビワ、ナシ、キョウニンがあげられます。鼻の症状にもいいものとしては、生薬で辛夷モクレン)の花があります。

肺の支配部位

肺の支配部位は皮毛、鼻などである。「肺は身の皮毛を主る」、「肺気は鼻に通ず」という。また「肺は声を主る」ともいむ。皮毛は最も体表部にあって身体を包んでいる。これを肺が主るというのだから、肺そのものには体を包む作用があると考えられる。これが「肺は収を欲す」といわれる所以である。

先に述べたように皮毛の部分には湊理がある。これが開闔して陰陽の気を調節して外邪から身を守っている。皮毛は皮と毛を同時に言ったものだが、体毛も肺が支配している。たとえば肺がもともと弱くて身体が冷えやすい人は体毛が多い。

肺の支配する皮毛と繋がっている部分がある。ひとつは鼻~気管~肺の中である。肺が声を主るというのもこの関係である。また口~食道~胃腸~肛門にかけての部分も皮毛と繋がっている。また膀胱と子宮の内側も皮毛と繋がっている。これらの部分は肺に関連していると考えてよい。肺に関連しているということは、これらの部分は肺に関連していると考えてよい。肺に関連しているということは、肺が虚して陽気が循環しないと、これらの内側にも陽気が循環しなくなって冷えるということである。逆に肺に熱が多くなるとこれらの部位にも熱が停滞することがある。

たとえば皮毛を温めると空腹になるが、これは肺気の循環が良くなって胃の内側の陽気も盛んになるからである。逆に風邪の時に食べ過ぎると、鼻が詰まったり余計に熱が出たりするものである。

肺と辛味

肺そのものは収斂を欲しているので、それを湊理の作用でいうと閉じる方向に働く。しかし、湊理が閉じて肺気が発散しなければ全身に陽気が循環しなくなる。あるいは陽気が一カ所に停滞して熱する。それで「肺は辛を欲す」という。これは辛味のものを摂ることによって気の循環や発散がよくなるためである。

これを陰陽に分けると、肺そのものには陰気が多くて収斂し、肺経は気を循環させて発散に働くと考えても良い。この二つの作用がともに肺の蔵象なのである。

肺と大腸

肺と大腸は表裏の関係になっているが、大腸は下焦において命門の陽気の影響を受けている。また大腸は胃の一部である。だから脾虚で胃に熱が多くなると大腸にも熱が移行する。では肺と大腸が関係ないかというとそうではない。たとえば肺虚になりやすい人は、冷たいビールや牛乳を飲むとすぐに下痢になる。これは皮毛の続きである胃腸の内側を冷やすからである。先に述べたように肺虚の人は皮毛が冷えやすい。

逆に肺に熱がこもると大腸や大腸経にも熱が出てくる。